プリフロップ・レンジの読み方
テキサスホールデム(ノーリミット・キャッシュゲーム / 100BB 想定)
1. ポジションが土台
ホールデムでは、同じ2枚でも「何番目に動くか」で価値がまるごと変わります。後から動けるほど、相手の行動を見てから決められるぶん有利です。
| 位置 | 呼び方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 最初 | UTG | 後ろに全員残っている。一番不利。 |
| 中盤 | MP / HJ | まだ後ろが多い。 |
| 後ろ | CO | 残りはBTNとブラインドだけ。 |
| ディーラーボタン | BTN | フロップ以降、常に最後に動ける。最も有利。 |
| ブラインド | SB / BB | 強制ベットあり。ただしフロップ以降は不利な位置。 |
2. なぜ位置でレンジが変わるのか
理由は2つだけです。
- まだ動いていない人数 — UTGでレイズすると、後ろの8人(6人卓なら5人)全員に強い手を持たれる可能性が残ります。BTNなら残りは2人。同じハンドでも「勝ち抜けなければならない相手の数」が違います。
- フロップ以降の位置 — BTNで参加すれば、そのハンドの最後まで相手の行動を見てから決められます。この差が、ぎりぎりのハンドを「参加できる側」に押し上げます。
本ツールのレンジ表で、6人卓のオープンレンジがどう広がるかを実際の数字で見るとこうなります(レンジに含まれるコンビ数 ÷ 1326 通り)。
| 位置 | オープンする割合 |
|---|---|
| UTG | 13.7% |
| HJ | 17.6% |
| CO | 26.4% |
| BTN | 44.5% |
| SB | 32.7% |
UTGとBTNで3倍以上違います。「AJo は良いハンドか?」という問いには答えがなく、「どこで持ったか」で決まります。
3. レンジ表の読み方
- 対角線=ポケットペア(AA, KK, …)
- 右上(上三角)=スーテッド。2枚が同じスート。
- 左下(下三角)=オフスート。スートが違う。
同じ AK でも、スーテッドの AKs は 4 通り、オフスートの AKo は 12 通り、ペアの AA は 6 通りしかありません。この コンビ数 が、相手のレンジを読むときの単位になります。「相手はAAかもしれない」と思っても、AAは全体の 0.45%(6 / 1326)です。
4. プリフロップの原則
リンプ(コールだけで入る)をしない
参加するならレイズ、しないならフォールド。コールだけで入ると、後ろにレイズされて位置の悪いまま参加させられる形になりやすく、プリフロップで主導権も取れません。
レイズサイズは揃える
オープンは 2.5〜3BB(後ろにリンパーがいれば +1BB)で固定し、ハンドの強さでサイズを変えないこと。強い手だけ大きくすると読まれます。
3ベットは「強い手」と「降ろせる手」の2種類
レンジ表の3ベットに A5s / A4s のような手が混ざっているのは、Aを1枚持つことで相手のAA/AKを減らし(ブロッカー)、降ろされてもフラッシュ・ストレートの目が残るためです。「弱いのに上げている」わけではありません。
5. ポットオッズとエクイティ
コールするかどうかは、勘ではなく2つの数字の比較で決まります。
コール額 ÷(現在のポット + コール額)例: ポット 100 に 50 のコール → 50 ÷ 150 =
33.3%
この 33.3% より自分の勝率(エクイティ)が高ければ、そのコールは長期的に見合う計算になります。ツールの「シミュレーション」タブで、自分の2枚と相手のレンジを入れれば、その場でモンテカルロを回して実測できます。
よくある勝負の実測値
以下はすべて、このツールと同じ計算エンジンで 100 万回ずつ回した実測値です(プリフロップ・オールインで最後まで見た場合)。
| 対戦 | 左側の勝率 |
|---|---|
| AA vs KK | 82.6% |
| QQ vs 77 | 80.2% |
| AKo vs 72o | 66.9% |
| A5s vs KQo | 60.5% |
| AKs vs QQ | 46.2% |
| AKo vs QQ | 43.3% |
| AKo vs JJ | 43.2% |
| JTs vs AKo | 41.2% |
AK は QQ に対してすら 4:6 で不利です。「AKは強い」ではなく「AKはペアに少し負けている側」と覚えておくと、オールインを受けるかどうかの判断がぶれません。
ドローが完成する確率(フロップ→リバー)
残り2枚を見られる場合の完成確率は、組み合わせで正確に出せます。
| ドロー | アウツ | 完成する確率 |
|---|---|---|
| フラッシュドロー | 9 | 35.0% |
| オープンエンド | 8 | 31.5% |
| ガットショット | 4 | 16.5% |
計算式: 1 − (47−アウツ)×(46−アウツ) ÷ (47×46)。フロップ時点で未知の47枚から2枚を見る前提。
6. フロップ以降の最低限
- 誰のレンジが強いかを先に考える — UTGがオープンしてBBがコールした形なら、A・K が高いボードはUTG側に有利。逆に 7♦6♦5♣ のようなボードはBB側に噛み合います。
- SPR(スタック ÷ ポット) — この値が小さいほど、トップペアでもスタックを入れてよい場面が増えます。大きいときはワンペアで大きなポットを作らないこと。
- ベットする理由を1つ持つ — 「弱い手から支払わせる」か「降ろす」のどちらか。どちらでもないベットは、負けている相手からしか払ってもらえません。
7. 卓でのチェックリスト
- 自分のポジションを確認する(ハンドを見る前に)。
- 前に誰かがレイズしていないか確認する。していれば「オープンに対して」の表。
- 表にあればレイズ/コール、なければフォールド。
- 参加したら、レイズサイズを毎回同じにする。
- 降りた後も、相手が何をどこで見せたかを覚えておく。